空に聞く.
「空に聞く」という映画を見た。
そもそも映画館に初めて行ったのが大学生、これまでの人生で映画館へは数回しか足を運んでいない私が、どうしてこの作品を映画館で見ることにしたのか。
縁というのは不思議だといつも思っている。
今、複数の東日本大震災の被災地でまちをつくる仕事をしている。
その中のとある街で、中心市街地に人を呼びよせるためのPRになるような動画をつくるお手伝いをした。その中のメンバーに阿部裕美さんがいた。
初めて会った時にはラジオパーソナリティの経験があるとはつゆ知らず、和食屋さんの阿部さんとして出会った。
制作に携わるようになって数ヶ月経ったとき、会社の先輩が阿部さん主役の映画が公開されるみたいだと教えてくれた。
その頃にはどうやらラジオに出ることもあるらしい、くらいの情報は持っていたので、阿部さんってそんなにすごい人なのかと驚いた。
制作の打合せでも、口数が多い方ではなく、でもどこか凛とした雰囲気がある人だなと思っていたが、映画を見てその印象は間違っていなかったと再認識した。
そして、あの街の映像をみて、ほとんどの場所がわかるようになっていたことが嬉しかった。昨年度まではほとんど行けなかった場所のことを新しく知れたのは嬉しい。
ただ、あんなに大きく街が変わることに対して、その街をふるさととしている人にとっては必ずしも喜ばしいことではないんだということも再認識した。
小森はるかさんが舞台挨拶の時に言っていた、復興のために街ができる「過程」は忘れられてしまう。だから作品として残すことに意味がある(意訳)。というコメントが印象的だった。
整備する立場としては、あれほどの規模を数年で嵩上げするのは凄い早さだと感動するほど。だけど、そこで生活する人にとっては1年1年全く違う生活が行われていて、その上で街の景色や時には住む場所も目まぐるしく変わっていって、心の拠り所になるような住処とはまだ言えていないのかもしれない。
基盤ができたので、ここから先は一人でも多くの人にとって素敵なふるさとになってほしいし、できる範囲でお手伝いしていきたい。
あとは、監督の小森はるかさんの若さと純粋そうな印象にも衝撃を受けた。柔らかく、それでいて芯があって自分の言葉で思いを伝えている、そんな姿に感動した。
当日、見渡す限りでは客席に20代は数人しかいないように見えたが、同世代にも震災を現在進行系で捉えてほしい、復興が終わったことにしないでほしいとも思った。
そして、ぜひ今の沿岸を目で見てほしい。「空に聞く」の中に出てくる街からまた再建が進んでいて随分と印象が違うと思う。
思いつくままに書いたらごちゃごちゃになっちゃった。
まあこんなときもあるよね。
END.
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